センター長より

福島県民が安心して暮らせる地域づくりを

 令和2年4月1日に福島県からの委託事業により福島県医師会に設置いたしました「福島県在宅医療・介護連携支援センター」のセンター長に就任いたしました 佐藤 武寿 です。

 さて、急速に少子高齢化が進む中、令和7年( 2025 年)にいわゆる「団塊の世代」が全て 75 歳以上となる超高齢社会を迎えます。こうした中で、県民一人一人が、医療や介護が必要な状態となっても、できる限り住み慣れた地域で安心して生活を継続し、その地域で人生の最期を迎えることができる環境を整備していくことは喫緊の課題です。

 我が国における医療及び介護の提供体制は、世界に冠たる国民皆保険を実現した医療保険制度及び介護が必要になった高齢者を社会全体で支えるしくみとして創設された介護保険制度の下で、着実に整備されてきました。しかし、高齢化の進展に伴う老人慢性疾患の増加により疾病構造が変化し、医療ニーズについては、病気と共存しながら、生活の質(QOL)の維持・向上を図っていく必要性が高まってきています。一方で、介護ニーズについても、医療ニーズを併せ持つ重度の要介護者や認知症高齢者が増加するなど、医療及び介護の連携の必要性はこれまで以上に高まってきています。

 こうした中で、医療及び介護の提供体制については、サービスを利用する方の視点に立って、ニーズに見合ったサービスが切れ目なく、かつ、効率的に提供されているかどうかという観点から再点検していく必要があります。また、高齢化が急速に進む都市部や人口が減少する過疎地等といった、それぞれの地域の高齢化の実状に応じて、安心して暮らせる環境づくりも必要です。

 このように、利用者の視点に立って切れ目のない医療及び介護の提供体制を構築し、住民一人一人の自立と尊厳を支えるケアを将来にわたって持続的に実現していくことが、医療及び介護の総合的な確保の意義です。

 この医療及び介護の総合的な確保に向けた各市町村の取り組みとして「地域包括ケアシステム」の構築が重要であり、地域によっては本システムの一翼を担う機関として「在宅医療・介護連携支援センター」が設置され、各種相談受付の他、在宅医療に関連した講演会や医療と介護に従事する多職種の連携に向けた研修会の開催などが行われております。 福島県在宅医療・介護連携支援センターでは、各地域に設置された在宅医療・介護連携支援センターの資質向上や事業運営のバックアップなど総合的な支援を行うと共に、今後センター設置を目指す市町村への支援など各地域における地域包括ケアシステム構築のための様々な支援を行い、福島県民が安心して暮らせる地域づくりを行ってまいります。